結婚詐欺師 クヒオ大佐

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結婚詐欺師 クヒオ大佐

結婚詐欺師クヒオ大佐は1970年代から詐欺師として活動していました。

 

不思議な魅力を持ち女性に近づき、女性がまとまったお金を貸すと連絡が取れなくなります。結婚するはずだったのに。

 

結婚詐欺のターゲットとなる女性には以下のような輝かしい経歴を語ります。

 

「私はアメリカ空軍のパイロットです」

 

「イギリス情報部から米海軍に派遣されている戦闘機のパイロットで、横田基地に所属しています」

 

「6歳でワシントン大学を卒業しました」

 

「10歳でミネアポリスの士官学校の入学資格を得ました」

 

(実際は、海軍兵学校ならメリーランド州アナポリス、

 

陸軍士官学校はニューヨーク州ウェストポイント、

 

空軍士官学校はコロラド州コロラドスプリングスにあります。

 

またアメリカの軍学校には年齢制限があり、アメリカ海軍兵学校なら入学年度の7月1日で17歳以上23歳未満です)

 

「父親はハワイのカメハメハ大王の末裔、母親はエリザベス女王の双子の妹です」

 

「エール大学で弁護士資格を取得しました」

 

(アメリカの弁護士資格は州ごとの弁護士資格で、州の司法試験を受験するには、原則としてアメリカ法曹協会が認定するロー・スクールにおいてジュリス・ドクターの学位を取得する必要があります)

 

「東京大学法学部大学院で法学博士号を取得しました」

 

「伯母の要望もあってケンブリッジ大学にも留学していた時期があります」

 

「士官学校卒業後はアメリカ海軍に任官。のちに空軍に転籍し、ベトナム戦争や湾岸戦争などで常に最前線に赴く特殊部隊パイロットとして従軍」

 

(イギリス情報部だったりアメリカ海軍だったり空軍だったりします)

 

実際の学歴は中学校卒業、職業訓練学校卒業です。(かなり大きく出ています)

 

職歴は元自衛官で所属組織と階級で嘘をついています。

 

クヒオ大佐は、レプリカの軍服をいつも来ています。

 

その後、高級レストランなどで2~3回デートをします。

 

このあたりで早くもお金と結婚の話がでてきます。

 

「結婚してくれませんか」

 

「財産は500億円あります」

 

「私と結婚すれば、軍から5000万円の結納金が支給されます」

 

「イギリス王室からは、5億円のお祝い金が出ます」

 

「ウェディングドレスはダイアナ妃のドレスも手がけたデザイナーに依頼して製作します」

 

相手を信用させるための小道具としてなぜか日本語で書かれた「USAから発行されたという公文書」を見せてくれます。

 

ヘルメットやフライトスーツで戦闘機に乗っている写真も見せてくれます。(なぜかぼやけています)

 

電話をかけてくるときは、航空機の爆音が聞こえてきます。(録音テープを再生しているだけ)

 

結婚詐欺師なので、相手が信用した頃合いを見計らって「お金を貸してください」の段階に移行します。(結婚詐欺師なので返すつもりはありません)

 

「軍の秘密任務に就いているが、資金が150万円足りない。必ず返すから、貸してもらえないか」

 

「コソボで米軍の現金輸送車を誤爆してしまった。補償のため米軍のお金に手をつけてしまった。すぐに返すから貸してほしい」

 

90年代の末に騙された女性は、上記のような内容で600万円も渡したそうです。

 

連絡が取れなくなってから結婚詐欺に気づき、警察に被害届を出したようなので信じてしまったようです。

 

筆者がアメリカンフットボールやメジャーリーグやプレミアリーグの話を知人の女性にしたときはまるで興味を示しませんでしたが、結婚詐欺師が同じアメリカ・イギリスにおける輝かしい経歴、家柄となると耳を傾け、それらを信じるというのは不思議に思いました。

 

結婚詐欺師が話す所在地が間違っているアメリカの軍学校、米軍が多額の結納金を出すという嘘を信じてしまうのは、知らない世界なので疑わなかったのでしょうか。

 

お金を渡すまでの流れを見てみると誰でも「馬鹿だねえ」と言いたくなるような雑な作り話です。

 

けれども結婚詐欺師クヒオ大佐にはもう一つの武器がありました。

 

それは、クヒオ大佐という特異なキャラクターが生まれつき持っている不思議な魅力です。

 

クヒオ大佐は、人生のある時期に自身が生まれつき持っている不思議な魅力に気がついたはずです。

 

もし、クヒオ大佐が不思議な嫌みをまとっていたのであれば、結婚詐欺は成功しなかったでしょう。

 

この人たらしというか誰でもクヒオ大佐に会った人は好感を抱くとかの不思議な魅力を持った人はあまりいません。

 

むしろ、誠実とか実直とか律儀とか正直とかの人のほうがこんな結婚詐欺師より人間としてはるかに立派であるのに、不思議な魅力のクヒオ大佐のほうに女性がなびくのは、不条理を感じます。

 

不思議な魅力という希少価値の才能を持つクヒオ大佐ですが、真人間として生きた場合、成功したのでしょうか。

 

自衛隊にいたときは、上官にかわいがられたかもしれません。

 

つじつまの合わない嘘をつくのでたまには失敗したかもしれません。

 

高級レストランなどで2~3回デートしただけで「お金を貸してほしい」の話が出てくる人なので根気強さもなさそうです。

 

職業人として生きる場合、根気強さがないと少しハンデになるかもしれません。

 

仕事は楽で楽しいことばかりではないです。

 

クヒオ大佐は、結婚詐欺で捕まった後、公判では常に「受け取った金はセックスの対価」と主張したそうです。

 

つまり、騙したのではなくつきあう過程で相手のご厚意で貰ったものであるとの主張です。

 

この非常識な独自理論を曲げないところは、いくら不思議な魅力という希少価値の才能を持っていても、真人間として職業を持ったとき、ほころびが出てくると思われます。

 

こう考えてみると、律義さ、真面目さ、誠実さ、根気強さがない、人生のある時点で自身の持つ不思議な魅力に気づいたクヒオ大佐が結婚詐欺師になったのは、わからなくもないと思いました。

 

クヒオ大佐にとって堅気の世界で生きていくのは、きついことなのかもしれません。

 

クヒオ大佐は分かっているだけで結婚詐欺で10回も逮捕されています。

 

90年代の末に女性から600万円騙しとった事件では懲役5年の実刑判決となっています。

 

一般的に女性は男性よりカンが鋭いと言われます。

 

普通の男性が「私はアメリカ空軍のパイロット、財産は500億円あります」

 

と言ったとき、

 

女性は「何言ってるの、この人、そんな嘘ついても騙せませんよ」

 

と思うのではないでしょうか。

 

けれども、クヒオ大佐が「私はアメリカ空軍のパイロット、財産は500億円あります」

と言うと、一部の女性は、クヒオ大佐の不思議な魅力により結婚詐欺に対する防衛線を突破されてしまうのです。

 

急に連絡が取れなくなって気がつく女性は、そこにいたるまで、気がつくチャンスを逃していたとはいえ、救いがあります。

 

結婚詐欺師クヒオ大佐に金を騙し取られた女性たちの中には、クヒオ大佐の逮捕後も結婚詐欺にあった事実を決して認めず被害届を出さなかった女性、また、刑務所で服役しているクヒオ大佐に面会に来ていたりした女性もいたそうです。

 

クヒオ大佐の持つ不思議な魅力という希少価値の才能は、一部の女性を引き付けてやまないものがあるようです。

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