G20 口論 中国職員 対 米職員

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G20 口論 中国職員 対 米職員

 

アメリカ ホワイトハウス女性職員の主張 

 

「これは私たちの飛行機なのよ」

 

「私たちはその飛行機の翼の下に立っているのよ」

 

中国の職員の主張

 

「ここは私たちの国である」

 

「ここは私たちの空港である」

 

飛行機の中のことについてであれば、中国当局に口出しする権限はありませんが、今回は翼の下のオバマ大統領に対する米側記者の取材についてであります。

 

どちらも口の達者なアメリカ人と中国人、押しが強そうです。もっと長く続けば面白くなったかもしれません。

 

また、これはよく考えるとやっかいな話なので議論がかみあっていませんね。

 

上の映像は、オバマ米大統領が2016年9月3日に20カ国・地域(G20)首脳会議出席のため米政府専用機エアフォース・ワン(Air Force One)で中国・杭州の空港に到着したときのもの

 

そのとき、ホワイトハウスの女性職員と中国当局が取材の制限をめぐって口論になったものです。

 

米政府専用機が着陸しても赤じゅうたんを敷いたタラップを中国側が用意せずに出迎えるトラブルもありました。

 

米メディアによれば、米側の同行していた記者団が政府専用機から降りてくるオバマ氏を取材するために専用機に近づくことを中国当局の男性がとめたそうです。

 

そのことに対しホワイトハウスの女性職員が抗議したようです。

 

オバマ大統領は9月4日、取材の機会を守ることは重要ですと確認した上で「このような出来事が起きるのは初めてではない」と述べ、事を荒立てない考えを示しました。

 

参考のため国内法ではありますが日本の刑法130条では

 

(住居侵入等)

 

 第130条

 

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

 

艦船までは記載されていますが、飛行機は入っていないし、まして飛行機の翼の下の諸権利を誰が有するかなんて示されていません。

 

また「艦船」とは、人が居住し得る程度の大きさのある軍艦および船舶のことであり、公園の池などにあるボートやカヌーは「艦船」ではないそうです。

 

飛行機の中の犯罪とかであれば「航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約」(1970年8月発効)という条約があり、航空会社のある多くの国が、この条約に加盟しているそうです。(略称 航空機内の犯罪防止条約、通称東京条約)

 

この条約が適用されるのは、航空機の動力が離陸のため作動したときから、着陸の滑走が終了するまでの間で飛行機はすでに停止していますのでその面からも参考にできません。

 

また民間航空機以外の軍隊、税関又は警察の役務に使用される航空機は対象外であることからもさらに参考にできなそうです。

 

話は飛びますが飛行機の中での「犯罪」は、どこの国で裁かれるのか調べてみました。

 

「飛行機内の犯罪行為は、航空機が登録されている国が刑事手続き上の管轄を持つのが原則であり、日本の刑法1条2項で明記されています(属地主義の延長。旗国主義)。

 

日本の航空機の中の犯罪であれば、日本が管轄権を持つ。

 

しかしながら、飛行機の場合、外国の上空で事件が起きれば、属地主義の原則によって、その外国が持つこともありえます(管轄が並存します)。

 

したがって、日本の飛行機内で起きた犯罪でも、中国の上空で中国の警察により現行犯で逮捕されるということもありえます。

 

(日本の飛行機内で中国の警察が逮捕して、日本の刑法が適用されるという場合など)

 

飛行機の中に警察官が乗っているということはあまりないので、「航空機内の犯罪防止条約」では機長に下記の権限が与えられております。

 

第6条  
1 機長は、いずれかの者が第1条1の犯罪又は行為を航空機内で行ない又は行なおうとしている と信ずるに足りる相当な理由がある場合には、その者に対し次の目的に必要な妥当な措置(拘束の措置を含む。)をとることができる。
 
(a)当該航空機又はその機内の人若しくは財産の安全を保障すること。
 
(b)当該航空機内の秩序及び規律を維持すること。
 
(c)この章の規定に基づいてその者を権限のある当局に引き渡し又は降機させることができるよう
すること。
 
2 機長は、自己が拘束する権限を有する者を拘束するため、他の乗組員に対し、援助を命じ又は
承認することができる
 
ものとし、また、旅客に対しては、援助を要請し又は承認することができるが援助を命ずることはできない。いずれの乗組員又は旅客も、妥当な防止措置が航空機又はその機内の人若しくは財産の安全を保障するため直ちに必要であると信ずるに足りる相当な理由がある場合には、機長の承認を得ることなくその防止措置をとることができる。
 
以上、中国の空港においてアメリカの政府専用機エアフォースワンの翼の下の諸権利を誰が有するのか考えてみましたが結局わかりませんでした。

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